2019年しまなみ海道の思い出(1日目の3 向島〜因島大橋篇)
ONOMICHI U2を出発し、いよいよしまなみ海道を走っていきます。
とは言え、最初の島「向島」へ渡るには、自転車ではなく渡し船を使います。ガイドブックで事前に調べたところ、地元の方が路線バス感覚で利用しておられる渡し船に自転車を乗せることができるそうです。
初めての経験が楽しみで、ワクワクしながら渡し船乗り場を探しました。
街中の賑やかな大通りから海に面したところに渡し船乗り場を発見。
フェリーでの輪行旅行なら何度か経験がありますが、あれは船内が広く、自転車を置いておく場所が別に設けてあるので「自転車=手荷物」感覚です。でも今回のように自転車を押したまま小さな渡し船に乗り込むのは初めての経験だったので、いささか戸惑いながらの乗船でしたが、地元の方々は慣れたもので、特に気にされている様子も見られなかったからちょっと安心。
とりあえず甲板上のお邪魔にならないところに自転車を停めて、さてチケットを買うでもなく乗船してしまったはいいが、船賃をどうするのかと思っていると、係のおじ様が船賃を回収しに回って来られました。自分と自転車の船賃(路線バス程度の安価)を払い、動き出した船に揺られながら、すぐ目の前に見える向島に想いを馳せました。
ほんのちょこっとだけ海を挟んですぐ向かい側にあるから「向島」って言うのかなあ?
本当に目の前、すぐそこの島なので、地元の方々は「ちょっと近所におつかい感覚」で行き来していそうだな、と思いました。
渡し船は緑の島影を左側にぐるっと回って水路に入っていきます。出発からわずか数分で、向島の船着場に到着しました。
小さな船着場には反対に向島から尾道に渡る人々が長い行列を作って船の到着を待っていて、その人数に驚きました。この人出、GW期間中だったせいもあるのかな?
自転車を押して渡し船から降り、さあどちらへ進んだらよいか、と少し不安になりました。と言うのも、降りた先は普通の民家が並ぶ住宅街の中の細い一般道だったからです。
はて、天下に名高いしまなみ海道は一体どこじゃいな?と心細く進むうち、広い道路に入り、見えてきましたブルーライン!
自転車アニメ「ろんぐらいだぁす!」にも出てきたブルーラインだー!これでしまなみ海道を迷わず走ることができる!
黄色いレンガの道はエメラルドの都に通ず。
道に書かれた青い線をひたすら辿っていけばゴールまで迷わず進んでいけるなんて、「オズの魔法使い」のドロシーみたいで何ともロマンティックじゃないですか♪
そして、サイクリストが迷わないように道路上に施されたもう一つの配慮がこちら。
しまなみ海道の其処此処に立つこの道標のおかげで、自分が今どこにいるのか、進んだ先に何があるのか確認できるので助かりました。自転車で島から島へどんどん移動していくと「今何島にいて、この先の橋は何か」が分からなくなってくると想像されますので、この道標は有難かったです。
さあ、心強い味方ブルーラインと道標に導かれて、(今度こそ本格的に)しまなみ海道冒険の旅に、いざしゅっぱーつ!
まず始めに目指すのは
「ウシオチョコラトル」そして「はっさく屋」!
始めにお断りしておきますが、私は紗希ほど非常識な大食漢ではありません。アイツは野生の獣みたいな奴ですが、私は断じてあそこまで酷くない。
だけど人一倍食いしん坊ではある。それは認めます。そして熱烈な「ろんぐらいだぁす!(アニメ)」のファンでもあります。
しまなみ海道に来たからには、「ろんぐらいだぁす!」ゆかりの地を楽しみ、作品中に出てきたはっさく大福や、その他瀬戸内のご当地グルメを食べる!
そう。瀬戸内の多島美を楽しむこと、島と島とをつなぐ橋を自転車で走行することと同じくらい、「美味しいものを食べること」に私の情熱は燃え上がっておりました。
ここ向島には「ウシオチョコラトル」というチョコレート製造所があって、店内で美味しいチョコレートドリンクを飲めるとガイドブックにあったので、まずはそこを目指すことにしました。
ウシオチョコラトルはしまなみ海道のブルーラインを途中から外れて山の中へ入っていかないと辿り着けません。冒険開始早々、ちょっとしたヒルクライムとなってしまった訳ですが、美味しいものの為に頑張って登り始めました。
が!お天気は生憎の曇り空にもかかわらず暑い日だった為、結構苦労して登る羽目になりました。
私の他には前を行くサイクリストの姿も無く、誰からも追い越されず、人っ子一人通らない寂しい山道をひたすら登り続けていくのはかなり心細かったです。
それでもナビゲーションアプリが教えてくれる道を信じて登り続けると、ようやくそれらしき場所を発見。いやー暑いしキツかった!
アップダウンが多くてなかなかのヒルクライムでした!
汗をかいた体に冷たいチョコレートドリンクを流し込もう!と店内に入ると…
店内はGWの為か、長蛇の列ができていました。ここまで来る山道ではサイクリストと全く遭遇しなかったのに、列に並ぶサイクルジャージのお客さんが列の前方に数人いらしたので、別ルートでいらしたのかとも思ったのですが、じきに理由が分かりました。
お客さんの行列の進みが遅い!恐らく私よりずっと早くに到着したサイクリストの方は、もう随分長いこと並んで待っていらしたようです。そこに遅れて私がやってきたので、道中お見かけしなかったんです。
10分待っても15分待ってもレジで注文できないのは何故か。それはお土産のチョコレートの販売もイートインのドリンクも、全てたった一人の店員さんが、1枚のiPadをレジ代わりに操作して受け付けているから。
そしてお土産のチョコレートのパッケージが可愛らしく種類豊富な為、並んで待つ大勢のお客さんがショーケースとにらめっこで悩みながら注文しているから。
結局20分くらい待って、ようやくチョコレートドリンクを注文することができました。
人気のお店ですので、今はレジの大渋滞問題が解決されて、スムーズに行列がさばかれるようになったと信じたいです。
あ、もちろんお味は美味しかったですよ、チョコレートドリンク。20分待つ甲斐があるかどうかは各自の判断にお任せ致します。
思いがけず長時間の滞在となってしまった為、ドリンクを飲み終わるとすぐに出発しましたが、山道を下りてきて少し迷子になってしまいました。
前述のブルーラインから一旦外れると、私のような方向感覚の鈍い人は細い道や分かれ道で迷いやすくなると分かりました。
ウシオチョコラトルまでの道のりはアップダウンが多かった為、坂道を下った後、登って戻っているつもりが、分かれ道を間違って無駄に登ってしまっていたりして、ちょっと焦りました。ナビゲーションアプリに頼ってばかりいると、道を正確に覚えられなくていけませんね。周りの景色をよく見て道を覚えることが大切だと身に沁みました。
暑い中少々迷って、ようやく元のブルーラインまで戻ってくることができてホッと一安心。
気を取り直して先に進みます。
上の画像の赤い橋、ここの下をアニメ「ろんぐらいだぁす!」で亜美ちゃん達が走っていたなあ。
海沿いの美しい景色を楽しみながら自転車を走らせていると、やがて前方に大きな橋が見えてきました。
あれが憧れの因島大橋!
橋が見えてきてすぐ開けた場所があったので、そこで写真休憩をとりました。
画像からお分かりのとおり、向島休憩所は因島大橋を一望できる絶景の写真スポットです。
嬉しくてニコニコ顔の私が自転車を停めて写真を撮ろうとしていたところ、先にいらしていた男性二人組のサイクリストが写真を撮っていらしたので声をかけ、ツーショット撮影のシャッター係を引き受けました。
撮影後に少しお話させていただいたところ、お二人は今日一日でしまなみ海道80kmを完走するそうです。すごいなあ!
私は尾道から出発して今日は生口島までを目指すとお伝えしたところ「随分のんびりペースですねー。」と言われました。仰る通りでございます。
ですが私は初めてのしまなみ海道旅行なので、一気に走り抜けてしまうのはもったいない。美しい景色を堪能し、写真を撮ってはツイートし、美味しいものを沢山食べて、のんびりと自転車旅行を満喫したかったからこれでいいの。
お二人と別れて自転車を走らせるうちに、因島大橋が近くまで迫ってきました。
さあ、今からあれを渡るぞー!自転車で海の上を渡るのってどんな気分なんだろう?
期待に胸を高鳴らせ、逸る気持ちでぐいぐい自転車を漕ぎ進めました。
しまなみ海道では橋の近くまでくると、このように橋への道のりを案内する表示板が現れます。迷うことなく橋の入り口まで辿り着けるので助かります。
案内表示の看板どおりに進んで細く緩い坂道を登っていくと、やがて橋の入り口が見えてきました。
因島大橋は二層構造。上層階が自動車用道路、下層階が二輪車と自転車、そして歩行者用の道路になっています。
自転車通路がさほど広くない為、途中で停車すると他の自転車のご迷惑になりそうだったのと、私が高所恐怖症であるのとで、因島大橋の内部の写真は撮れませんでした。
足元の遥か下に広がる海と島々が金網越しに透けて見えて、怖かったけれど美しかったです。
因島大橋から見える景色の美しさは、やはりご自身で直接体験なさってください。一見の価値のある素晴らしい景色と貴重な体験は、何物にも代えがたい感動を心に刻み付けてくれます。
この橋を渡った先は因島、そしてその先には本日のお宿がある生口島があります。
まだまだ先は長い。さあ頑張って漕ぎ進めよう!
(続く)